2026年10月9日、倉本聰の追悼番組として『北の国から ’83冬』が放映される。
10月9日は、1981年に『北の国から』の連続ドラマが放送開始された日だったのですね。
『’83冬』が放送されたのは1983年3月24日のようだ。僕は青春時代??真っ只中だったから、はたしてこんな重苦しいドラマをリアルタイムで観たのかどうか、定かでない。
今になって観ると、実に良いドラマだと思う。
後のシリーズ作品には派手で印象深い「名場面」があるの対し、本作はすごく地味だから影が薄く感じる。
ここでは、純も螢もまだ子どもである。
正吉は「毛」が生えてきたとはいえ、初めの一本ではぜんぜんおこちゃまと言えよう。
本作は大人のドラマの色合いが濃い。
身勝手な大人たちと、それに翻弄される子どもたちの話だ。
本作の主なエピソードとしては、
・開拓民の祖が東京に逃げて、一文無しになって帰ってきた。
・五郎が幼なじみの「みどり」の借金の連帯保証人になりせっぱ詰まった。
開拓民の祖である松吉(笠智衆)は、遊びに溺れて、妻子を残して女とともに東京へ逃げた。
晩年になってボケて、いけしゃあしゃあとして富良野に帰ってきた。子どもたちをさんざんひどい目に合わせておきながらである。
みどり(林美智子)は、水商売で男関係が派手なのに加えて、ギャンブルで借金を作り、思春期の息子の正吉が手に負えなくなる。
五郎は、後先考えずに、気安く他人の借金の連帯保証人としてハンコを押してしまい、借金のかたに土地を失いそうになる。
どのケースも、とばっちりを食うのは子どもたちである。愚かな大人の犠牲になるのは、いつの世にも子どもである。
人間とは弱いものであるし、そんな大人を見て子どもは育つのだと、作者は言いたいのだろうか。
五郎の借金は、なんだかうやむやの内に片付いたようだ。ハッピーエンドとは言い難いが、めでたしめでたしである。
松吉の末路には胸が締め付けられる思いだ。
心温たまるエピソードとしては、正吉と螢の心の交流であろうか。これが未来の2人の人生につながっていくとは想像できなかった。
この先、純と螢は成長して、思春期という中途半端な年齢になり、どんどん面倒くさい人間になっていく。
視聴者が、ピュアな子どもの純と螢を見守れるのはここまでだ。
重要なことは本作が長すぎないこと。良質な映画のようにコンパクトだ。それに、季節が冬で統一されておりシンプルだ。
やはり本作は見応えのある作品だと思う。

